原発性脂質異常症研究 厚生労働科学研究費補助金
難治性疾患政策研究事業

「原発性高脂血症に関する調査研究班」

MV

原発性高脂血症調査研究班 厚生労働省 難治性疾患克服政策事業

原発性高脂血症とは、血漿リポタンパクの異常を示す病態の中で、
食事性や糖尿病などといった、原因が明らかではないものの総称である。
原発性高脂血症は、顕著な高LDL-C血症を示す、家族性高コレステロール血症(FH)、
高トリグリセリド血症を示す、原発性高カイロミクロン血症、
低HDL-C血症を示す、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)欠損症やタンジール病、
植物ステロールが増加するシトステロール血症、血清コレスタノールが上昇する脳腱黄色腫症、
低LDL-Cを示す無βリポタンパク血症などがある。
原発性高脂血症の多くは、これまでの研究により原因遺伝子まで同定され、病態生理が明らかになってきた。

日本において、原発性高脂血症研究の基盤ができる中、「原発性高脂血症に関する調査研究班」は、
厚生省(当時)により1983年に結成された。その後35年、高脂血症に関わる多くの先生方の業績により、
スタチンの臨床研究、LDLアフェレシスの開発など、
現在においても高脂血症治療の中核をなす治療法が開発されてきたことは、特記すべきことである。

LDLアフェレシス治療は、それまで有効な治療手段の無かったFHホモ接合体に対しても
LDL-C値を低下させることができるツールであり、動脈硬化の進展予防に大きな効果を示した。
しかしながら、LDLアフェレシス治療は、結果的には高脂血症治療に高額医療を持ち込むことにもなった。
患者側としては、小児期には小児慢性特定疾患として医療費助成を受けることができたが、
成人に達した後の医療費負担が切実な課題となっていた。
そのため、FHホモ接合体患者を中心に、「家族性高コレステロール血症・アフェレーシス患者会」が発足した。
患者会は、研究班と共に様々な活動をする中、2009年に原発性高脂血症の中では最初の疾患として、FHホモ接合体が特定疾患に指定された。
研究班の研究が、医療から行政に移行した瞬間でもあったと言える。

2015年に、「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が施行され、
助成対象となる疾患が56疾患から306疾患に、さらに2016年には330疾患となった。
その際、原発性高脂血症の中では、LCAT欠損症、シトステロール血症、タンジール病、
原発性高カイロミクロン血症、脳腱黄色腫症、無βリポタンパク血症が、指定難病に指定され、
FHホモ接合体も、引き続き指定難病となったため、原発性高脂血症の中で指定難病は7疾患となった。
これらの疾患の診断基準や疾患概念、診療指針が研究班により作成された。

一方、2015年には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が設立され、
難病研究班の中の実験等の部分はAMEDに移行し、難病班においては調査研究を分担することとなった。
これにより、難病研究班の活動内容は、研究開発の部分が無くなり、
疫学調査、ガイドライン作成、疾患啓発等に特化されることになった。
2018年4月より開始した今期の班においては、上記7疾患について、総説の作成、
HP作成、疾患啓発、患者への情報発信を通じ、難病患者の予後改善を最大の目的とした活動を行っている。

「原発性高脂血症に関する調査研究班」班長
国立循環器病研究センター研究所病態代謝部
斯波真理子